アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

検察庁法改正の問題

 新型コロナで国民の関心がそちらに集中している間に安倍政権は密かに検察庁法改正と称して、検察庁のトップ検事総長を官邸の言いなりになる人物に置き換えようとしている。検察官の定年を一般的に現行の63才から65才に延長すること自体に問題はないが、本日現在成立していない検察庁法の改正を先取りして1月にさかのぼり、黒川弘務東京高検検事長の定年を6か月延長すると閣議決定したのが問題だ。国家公務員には特例規定があって、半年間の延長はあり得るが、検察官には適用されないとなっていたにも拘わらず、検察官も国家公務員だからOKと法解釈を変更したと森雅子法務大臣、しかもこの解釈変更は記録に残らぬ「口頭決済」というから、およそ法律とかかわりを持つ人間(大臣)の発言とは考えられない。

 

 黒川弘務の何が問題か、それは、現稲田伸夫検事総長が7月に定年を迎えるため、後釜に黒川を持ってくるには、黒川の定年を半年延長して8月まで東京高検検事長に残す必要があるからだ。検察庁のNo. 1は検事総長、No. 2は東京高検検事長となっているから、それまで東京高検検事長の座に座っていなければ8月の黒川検事総長は実現しない。検察庁内閣総理大臣田中角栄をも逮捕する権限を持つ正義の味方だが、安倍政権の言いなりになるトップが検事総長になると、安倍晋三或いは自民党にとって非常に好都合だ。

 

 現に、稲田検事総長率いる検察庁は、現在、自民党の河井議員夫婦の選挙違反事件を徹底捜査しており、河合妻(案里)議員は恐らく連座制で間もなく議員失格となるだろうが、現金を配った河合夫(克行)議員については時間がかかるはずで、そのうち黒川検事総長が実現すれば、うやむやの中に葬られ、河合夫(前法務大臣)は無罪放免となるだろう。菅官房長官・河合夫議員・黒川は三位一体の仲良しグループだからだ。香典疑惑(公職選挙法違反)で経済産業大臣を辞任した菅原一秀議員や、カジノ汚職で収監中の秋元司議員など、自民党にはやばい議員がたくさんいる。森友学園の土地売却文書を改ざんさせられ自殺した公務員に訴えられている佐川元理財局長なども、その上司である麻生・安倍が擁護しなければならない。

 

 しかし、行政が司法の人事に介入するということは、三権分立を謳う民主主義を殺すようなもので、ついに我が国にもTrump出現となるようなものだ。大勢の検事総長経験者(検事総長の任期は2年)が法務大臣に「行政による司法の介入は絶対に許すべきでない」と署名を持ってきていて、野党も国会で検察庁法改正に断固反対と活動しているけれど、最終的には多数決で自民・公明の意見が通り、黒川検事総長が誕生するのだろう。昨年、韓国で文在寅の右腕といわれたタマネギ男(曺国/チョ・グク)法務部長官(法務大臣)が誕生したように(その後、辞任)。

 

 本来ならばこの2月で63才定年退職していたはずの男が、安倍政権のご厚意で検察庁トップの検事総長にさせてもらったのだから、匙加減を加えてくれないかと言われれば断ることはできないのが人情だ。ここまで来たら、我が国もTrump率いるアメリカ、Putin率いるロシア、そして習近平の中国にかなり近づくことになる。後世の歴史書には、安倍晋三の時代から日本の民主主義が間違った方向に進み始めたと解説するのかもしれない。