アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

菅原洋一の世界

 1123日、岸和田・波切ホールで菅原洋一のコンサートをききに行った。84才というにはお元気な声で1時間ほど歌ってくれた。さすがにお歳なのか、立って歌う時間より椅子に座って歌う時間の方が長かったような気がしたが、それにしてもほれぼれする声には感動した。僕は菅原洋一が昔から大好きだった。僕が高校三年生の時に「知りたくないの」がはやり、大学に入ってから「今日でお別れ」が大流行した。僕は菅原洋一の声が大好きだ。十数年前に岸和田高校創立百周年記念事業があり、その時ゲストに菅原洋一を招いてコンサートをしたのが、最初に本人を見た時だったので、今回は二度目。無理して立って歌わなくてもいいから、いつまでもお元気で、座ったままでも歌い続けてほしいと心から願う。
 
昔は、その見かけからか、ラジオ向きの歌手と言われ、テレビに出ないほうがいいなんてふざけた冗談を言う人が多かったように思うが、歳をかさねて、一般に人々は老いぼれた姿になるのに、彼だけはすごくいい顔つきになってきた。昔のイメージよりも美男子になる老人なんて他にあまりいない。昔可愛かったら今しわしわのおばあさんなんてのがよくある場合だ。整形手術などした弘田三枝子なんて、今はとても見られたものではない。歳をとって円熟味が増し、見かけも美しくなる人は少数だ。吉永小百合なども例外の一人だろう。
 
歌手・菅原洋一は、岸和田のコンサートで息子・菅原英介(作業療法士)と duette で歌ったが、気の毒なことに父親の影響があまりにも大きすぎるからか、英介さんは終始父親のお手伝いの域を出なかったように思う。その息子を隣に立たせて、椅子に座って歌う菅原洋一は、世界一幸せ者のような顔をしていた。やはり、歌手の息子が歌手になってくれるのが、父親の最高の幸せなのかもしれない。音楽の才能が遺伝するのか、英介さんはピアニストでもあり、作曲もするそうだ。岸和田でも彼が作曲したという”Beautiful Memory”を親子 duette で披露してくれた。この曲は息子が父親の喜寿の祝いに作曲して、なかにし礼が作詞したものだという。「人生なんて忘れものだらけ」「後悔ばかり」だけれど「思い出だけは」いつまでも残るのだそうだ。
 
歌手・菅原洋一の子どもの頃は病弱で、どうせ長生きできないから好きな音楽をやらせようと、親は音楽の道に進むことを許可したという。結果的に長生きしている菅原洋一さんは、2年前、たった一人のお孫さん(娘の子)を脳腫瘍でなくされたとのこと。現在、彼は、小児がんの子どもたちを支援する Charity Concert を開催して、全額寄付したりしているようだ。
 
菅原洋一は今年4月に突然亡くなったペギー葉山とかなり親しくつき合いがあったそうで、同じ歳の彼女が急逝してかなりショックだった由。彼女を偲んで、ペギー葉山の曲”La Novia”と「学生時代」も歌ってくれた。人生の終わりは誰にもわからないもの。病弱だった菅原洋一が長生きしたり、元気だった18才の女性歌手が突然亡くなったりと、「今日でお別れ」がいつ来るか神のみぞ知る。だから、私のお墓の前で泣かないでくださいと歌うしかないのかもしれない。