アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

アルゼンチンの忠犬ハチ公たち

東大教授上野英三郎に飼われていた秋田犬「ハチ」が渋谷駅に飼主を迎えに行っていて、その飼主が脳溢血で死んでしまってからも、自分が死ぬまで約10年間、渋谷駅に飼主を迎えに行っていたという事実は、世界的に有名な物語になり、映画にもなって、南米の国アルゼンチンの人でも犬好きなら知っている。ハチ公ほど飼主に忠実な犬は滅多にいないと思うが、稀にはいるようで、時々海外の新聞にそのような犬の記事が出る。
 
アルゼンチン・ブエノスアイレスに住むGolden Retriever雑種(4-5才のメス)のシェイラ(Sheila)は、飼主の男が暴行で捕まり、懲役3年半の判決を受け服役している警察署の留置施設に座り続け、まだかまだかと待ち続けてもう1年になるという(飼主が留置されたのは20186月)。飼主が乗せられたパトカーの後をついて警察署に来て、ずっとそれ以来離れないそうだ。今では警察官のいいお友達になり、パトロールにも同行するとか。でも夜は飼主がいる留置場から離れないので、警察官もたまに飼主に面会させたり、飼主が収容されている監房の前で寝ることを認めているそうだ。警察署の仲間が皆で食べ物を与え、後2年と少し頑張れと励ましているという。(仮出獄が認められるなら、その期間はいくらか短縮される可能性がある)
 

同じくアルゼンチン、Córdoba州にカピタン(Capitán)という名のGerman Shepherdを飼っていたMiguel Guzmánという男性がいた。Capitánは、元々13才の息子Damianのために父親Mr.Guzmánが買ってあげた犬だが、犬はMr. Guzmánと大層仲良しになり、彼は毎日仕事を終えて家に帰ると犬を散歩に連れて行った。ところが、Mr. Guzmán2006324日突然病気で亡くなり、妻Verónicaと息子Damianは市内の墓地にMr.Guzmánを埋葬した。

 

23日後、主人が突然いなくなって悲しみのどん底にいる母・息子のところから犬のCapitánまでいなくなってしまい、必死に探すも見つからず、1週間後、夫のお墓に行くとそこにCapitánが横たわっていたという。母・息子は、びっくりして犬を家に連れ戻すも、また何日かして犬が家出をしてMr.Guzmánの墓守をしていたという。何度か連れ戻すも毎回同じ結果になるので、見守っていると、犬は夕暮れ時から朝になるまでMr. Guzmánのお墓に頭をくっつけて寝そべっている。墓地の管理人もこの義理堅い犬が大層気に入り、食事を与え狂犬病の注射も受けさせて、まるで映画ハチ公のようだと墓地に住み着くのを容認した。

 

そのCapitánが腎疾患になり、20182月、ついに享年15才で犬生を全うした。Mr.Guzmánのお墓の所で亡くなっているのを、翌朝、墓地の管理人が見つけたという。2006年に飼主が亡くなってから12年の長きにわたってずっと亡き飼主の墓守をしたから、アルゼンチン全国で超有名犬になり、動物愛護団体FUPA= Foundation of Animal Protection)の強い要望もあり、Villa Carlos Paz墓地の運営委員長は、人間専用の墓地だが、例外的にMr. Guzmánのお墓の隣に犬Capitánを埋葬することを許可したのだった。