アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

人口減少を見据えた移民政策

政府は不足する労働力を補充するために従来、原則、大学卒の外国人にしか認めていなかった就労資格を学歴関係なく認める方針に切り替えた。新「特定技能」は、3年間の技能実習を終えるか、日本語と技能の試験の両方に合格すれば、この在留資格が得られる。特定技能1号の在留期間は最長5年で、5年間問題なく過ごして審査を受けると、特定技能2号となり更に5年間在留することができる(特定技能2号になれば家族帯同も可能)。技能実習で始まった日本での就労が13年にもなる者のうち、どのくらいが日本に定住するかは不明だが、留学生が戻ってくる割合よりも多いと思われるので、恐らく20-30%以上は、我が国に永住することになるだろう。その一部は日本国籍を取得することになる。
 
労働力が不足するから誰でもいいので働きに来てくれという発想は間違っているが、従来のように高学歴の外国人にしか我が国での就労を認めないということはできない時代になっている。外国で高等学歴を付けてくれば日本で働かせるというのは、我が国にとって教育費が安上がりで便利だが、それらの人材を放出する国にとっては迷惑な話だ。今は人もモノも金も情報も自由自在に世界を駆け巡る時代であり、日本だけ高学歴者にしか就労を認めないと言い続けることはできない。
 
技能実習生はアジア諸国からの出稼ぎ労働者だ。日本の賃金水準が比較的高いので日本で働いて金をためるために来日する。現在は最長5年で帰国しなければならず、その後、就労目的で再入国はできない。しかし、一部の者はその間に日本語も覚えて、日本で働き続けたいと希望しても、大学を出ていないので無理だった。今回の新在留資格ができると、その後10年間日本で働き続けることができ、合計13-15年日本でまじめに働いた外国人がもっと日本で働きたいと望めば、それができることになる(永住も帰化もできる)。帰化して日本人になれば日本の人口が増える。参政権も与えられる。
 
外国人をむやみに入れると後世に禍根を残すと心配する意見もあるが、100年前、炭鉱の人手不足を補うため朝鮮半島から労働者を連れてきた歴史と重なるというのは間違いだろう。韓国最高裁の元徴用工判決のような問題を起こさないためにも「特定技能」在留資格新設はよくないというのは議論の飛躍と思う。また、外国人が増えると犯罪が増えるというのも、理論的に裏付けがなく、現実に照らしても間違っている。刑務所から逃げて全国民に心配と迷惑をかけていた男も、正真正銘の日本人両親から生まれた日本人だ。積水ハウスから55億円の詐欺を働いた地面師士グループのボス(現在フィリピンに逃亡中)も日本人だ。日本人が増えれば犯罪が減るという事実はない。
 
一方で、大学を出ていない日本人も外国で就労させてもらっている。現在は多文化主義の時代であり、日本人と外国人を差別すべきでない。今年は11か国によるTPPが発効する年でもあり、新在留資格導入に伴い、就労外国人の家族も含めた日本語・日本文化の教育に力を入れる方が、将来の日本の力をつける早道ではないだろうか。それこそが、我が国が発揮すべきSoft Powerだろうと思う。