アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

心臓バイパス手術体験

 最近胸が締め付けられる感じが強くなったので病院に行ってみたら、狭心症の疑いあり、8月26日一泊二日でカテーテル検査をすることになった。大きな画面に心臓を映して医者が調べたところ、三本の冠動脈すべてに90%ほど詰まった部分があり、切開しないと、カテーテルでステントを入れる程度の手術では無理だという。しかも、状況はかなりひどく、すぐに手術が必要と言われた。

 

 すぐにCTやらMRIやらいろんな検査をされ、8月28日ついに大手術の日がやってきた。きわどい場所なので、人工心肺装置をつける、輸血も必要、開胸手術なので当然リスクもありなど、一通り医師の説明をきき、あとは医者に身も命も任せるしかない。幸い、執刀医は見るからに賢そうでこの人に頼ればうまくいくという感じの人だったので、正午から大手術が始まった。まな板の鯉の心境だが、全身麻酔がきいて6-7時間の間どんなことが起こったのか僕には皆目わからない。

 

 目が覚めたら夜9時頃、体の8か所に管が入っていて、口にも大きな管が入っているから声も出せない。苦しいと手で訴えると看護師さんがタンを吸引してくれる。これがかなり頻繁に起こる。きちっとタンを吸引してもらわないと命に別状きたすという話を聞いていたので、必死になって訴え続けて、翌29日、午前10時頃に、ようやく口に入っていた大きな管を引き抜いてくれた。これを抜いてくれると声が出せるので、いくらか人間らしくなったが、管が口に入っている状態では、人間ではなく、理科の実験で解剖させてもらったカエルのようなもの、これ以上苦しみたくないので静かに死なせてほしいと本気で考えていた。でも、立場上、病院側も殺すわけにもいかず、必死に哀れな僕の命を助けれくれた。

 

 ICUから一般病棟に移って何日か後、今度は夜中に悪魔(魔王)に襲われた。手術した心臓を後ろから締め付けてくる。助けてくれーと叫ぼうとしても声も出ない。病室の消灯・就寝時間は9時だ。ようやく我に返って時計を見たら11時過ぎ。このままでは苦しくてどうしようもない。看護師さんを呼んで睡眠薬をもらいようやく朝まで眠ることができた。心臓を開けるなんて非日常も甚だしい、生まれて初めての経験、恐ろしい不思議な経験をさせてもらった。

 

 僕が受けた手術は、冠動脈バイパス手術、何でも、こんな複雑な心臓外科手術を発明したのは、フランス人外科医Dr. Alexis Carrel (1873-1944)、1912年に心臓バイパス手術でノーベル賞を受けたという、僕にとっては命の恩人だ。でも、直接の命の恩人は、岸和田徳洲会病院の薦岡成年医師だ。6-7時間の大手術をやって、また生かしてくれる。従来ならば心筋梗塞(心臓麻痺、急性心不全)などで直ぐに亡くなっているはずの人間を救ってくれているのだから。動脈硬化心筋梗塞の原因というが、高脂血症動脈硬化の原因なのだそうだ。高脂血症にならないためには、silent killerと言われる高血圧とコレステロールを管理しなければならない。神様のような食事療法をしていれば高血圧もコレステロールも問題ないのかもしれないが、塩分も味もない食事をこの先死ぬまで実践していけるのかどうか、病院を出たら自信がなくなってくる。