アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

オリンピックはAthletes Firstに戻すべき

 8月8日、ついに東京オリンピックが閉会式を迎え終了した。主催国の日本は、史上最多のメダル獲得(金27銀14銅17合計58個)だが、屋外種目については、真夏の暑さにより、選手に必要以上の負担を強いた五輪だった。もともと全米の独占放映権を持っている米テレビNBCが、自社の都合でこの時期の五輪を主張し、高額の放映権だけに目がくらんだIOCが、日本の夏は異常に厳しいことを無視して、7月24日~8月9日(コロナで1年ずれた関係で、閉会式を日曜日とするため、実際は7月23日~8月8日)に決まった経緯がある。

 

 日本は開催地に立候補する立場であり、日程を決定する権限はなかった。この時期の野外種目開催は、屋外競技選手にとって厳しすぎると考えるなら、立候補しなければよかったとなる。日本も、アフリカのIOC委員を買収までして勝ち取った立場上、当時の安倍晋三首相が「この時期の日本は温暖で理想的な環境」と大ウソをついて売り込んだものから、東京に決定した後、実は暑さ対策が大変だとは言えず、マラソンコースに予定されていた東京の道路に、300億円をかけて遮熱性・保水性舗装をし直し、「涼しい道路」に改良したところだった。その後、カタール・ドーハで行われた2019年9月の世界陸上女子マラソンで、4割を超える棄権選手が出て、IOCが急遽、東京のマラソン実施を断念し、札幌に変更された。

 

 しかし、札幌でもこの夏は異常に暑く、女子マラソンは88人のうち途中棄権15人(17%)、男子マラソンは106人のうち途中棄権30人(28%)と、ドーハほどではないまでも、かなり危険な気候条件であったことがわかる。テニスでも、スペインの女子選手は、熱中症のため準々決勝を棄権して、車いすでコートから途中退場する羽目になり、ロシアの男子選手も、暑さで試合中に気絶しかけ、「死にかけた」と話すなど、赤道付近の国の出身者でもなければ、こんな猛暑の中、屋外で全力を出し切って運動するのは、スポーツではなく虐待というものだ。

 

 拝金主義のIOCは米テレビNBCがこの時期だったら払うという放映権$12億(1,300億円)に目がくらんで、屋外種目の選手のことなど考慮せず、オリンピックには柔道、水泳、体操など屋内種目もたくさんあり、空調も完備していて全く問題ないと主張する。しかし、マラソンの棄権者がこれほど多かったという事実を反省して、たとえ、時期を2か月ずらすことで放映権が半分になろうと、選手第一(Athletes First)に考えるよう大いに反省すべきだ。

 

 マラソン途中棄権した選手は、それぞれ輝かしい実績を持った選手ばかりであり、日本の夏の猛暑を生涯恨むことになるだろう。結果として女子は1位ケニア、2位ケニア、4位エチオピア、男子は1位ケニヤ、2位ソマリア出身(国籍オランダ)、3位ソマリア出身(国籍ベルギー)、4位ケニヤと、猛暑に強い体質の選手が大活躍することになった。アフリカの選手にとっては、母国の厳しい気候が、日本で実績を残すことにつながったともいえる。(但し、ただならぬ死ぬほどの厳しい訓練をしての結果だが) とにかく、IOCにはそろそろ拝金主義・商業主義をほどほどにして、Athletes First主義で物事を進めてくれることを願う。