アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

タリバンの悪夢が現実に

 先月初め、米軍が8月末までにアフガニスタンから完全徹底するとBiden大統領が発表して、間もなく、タリバンアフガニスタン主要都市を掌握、8月12日第三の都市Herat、13日第二の都市Kandahar、14日第四の都市Mazar-i-Sharif、そして15日には首都Kabulを支配するに至った。米国が頼っていたAfghan大統領Ashraf Ghani(72才)は、現金$1.69億(187億円)を持って、国外に逃亡した。船長が、沈没中の船の乗客を見捨てて、自分だけが救命ボートに逃れるようなものだ。過去10年で$900億(10兆円)もの大金をつぎ込んで、アメリカが育てたAfghan政権のトップが、この有様では誠に情けない。

 

 これまで米軍に協力してきた者、国軍関係者、警察関係、捜査機関、政府関係者、司法関係者、報道関係者など、タリバンブラックリストを作成して、自分たちに敵対してきた者とその家族を探し出しては拷問・銃殺などの報復を始めている。イスラム法では、女性は、学校に行ってはならず、社会で活躍することも認められず、活動的な女性もすべてタリバンの標的になる。アフタにスタンの民主主議が突然終わったので、慌てて国外に逃げようにも空港が混乱していて逃げることもままならず、このままではタリバンの餌食になる人たちが多数発生する。人口3,750万の10%=375万人から20%=750万人は、もし幸運にも国外に脱出することができるならば、難民となって近隣諸国のみならず米欧にも逃れるだろう。

 

 20年前、New YorkのTwin Towerに飛行機を飛ばして破壊したアルカイーダのBin Ladenをかくまったのが、アフガニスタンタリバンだ。アメリカは、2001年、アフガニスタンに侵攻し、タリバンを排除して民主政権を後押しした。米軍10万人も投入して、国軍に最新兵器も提供したが、アフガニスタンに民主主議政府は定着しなかった。どうも、汚職が蔓延し、いくら金をつぎ込んでも、政府の役人の個人資産に化けるだけだったらしい。UAEに逃亡したGhani大統領の娘Mariam GhaniはNew York Brooklynの高級住宅に住む芸術家、息子Tarek GhaniはWashington D.C.の$120万(1.3億円)の高級住宅に住むWashington大学教授。アフガニスタンに残った一般の国民だけが、米国の援助の対象外だ。

 

 国外に脱出できない国民にとっては、これから悲劇が待っている。ロシア・中国にとっても、米国が去ったアフガニスタンタリバンが戻ってきて、安どしている場合ではない。ロシアにはチェチェンなどのイスラム過激派があり、タリバンが力をつけてロシア国内のイスラム過激派勢力と活躍し始めるとプーチンは安心しておれない。中国もウイグルイスラム勢力を民族虐殺している最中で、こんな時期にタリバンウイグル勢力と共闘すると非常に危険だ。いっそのこと、アメリカがアフガニスタンで頑張って、タリバンの防波堤になってくれていてくれた方がありがたいと思っているに違いない。

 

 米露中それぞれ思惑があってタリバンに対抗しているが、忘れられているのはアフガニスタンでなすすべのない善良な国民、女性たちだ。