アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

中国不動産バブル危険水域

 中国の不動産バブルは、30年前の日本の不動産バブルの再来の様相を呈している。当時、日本の不動産価格は、住宅地で10倍にもなったり、東京の1LDKの小さなマンションが1億円とか狂乱物価だった。1977年に僕が坪23万円で買った宅地200㎡(生駒市)も1990年頃、最高、坪200万円になった。こんなに上がるとは夢だに思わず、僕は必要に迫られて早々と買値の2.5倍のところで売ったが、結局その後、買値の9倍にまでなったのだ。あとで思うに、これが我が国の不動産バブルというものだ。僕と同時に同じ宅地を買った仲間がいて、彼は今もそこに住んでいるが、その土地は、現在、坪40万円前後ときくから、ほぼ「元の木阿弥」というものだ。

 

 中国の不動産価格はこれ以上に異常な状態らしい。もともと、土地は国が所有するため、人民は不動産の所有は認められず、70年間の集合住宅(いわゆる「マンション」)の使用権(土地の上に建物が建っているので、当然、土地の使用権も含む)に値段をつけているだけだが、その値段は一般的な労働者の年収の50倍ほどにはね上がったという。1995~2000年頃はその倍率が5倍程度というから、収入の20~30%を20年ほど充てることで「使用権」を手に入れることができたという。今は、その倍率が40~50倍というから、収入の100%を充てても40~50年かかるということだ。生活があるのに、収入の100%を「使用権」に使うことは非現実的だし、第一、30%の頭金を払わないと70%のローンを組ませてもらえないから、その頭金を貯めるだけで、普通の労働者は一生かかってしまう。(統計によれば、住宅を買う意欲のある、経済力が中流以上の都市労働者の平均年収は10.5万元≒165万円)

 

 中国第二の不動産開発大手「恒大集団」(昨年の売上高12.3兆円、日本最大の三井不動産の6.5倍!)が33.5兆円の負債を抱えて倒産の危機に瀕している。ほぼ債務不履行となっており、倒産は時間の問題。世間では2007年の米Lehman Brothers銀行倒産の再来かと恐れられている。それもそのはず、この会社は過去2年半でマンション使用権564万戸を中国で売っており、頭金だけ受け取って、住宅を引き渡していない物件もたくさんある。命がけで頭金を支払ったにも拘らず、このまま倒産されては自殺するしかない、という中国人が全国にたくさんいて、彼らは恒大集団の本社前で「金を返せ」と叫んで、警察といがみ合っている。

 

 今日になって、もう一社の不動産開発大手「融創中国」も資金繰り悪化が表面化して、債務不履行になりつつあるとの報道が出てきた。この会社の負債額は恒大集団の半分、17兆円というから、日本とは桁が違う。中国の不動産開発会社は、昨年50社ほど倒産したというが、これほどの大手ではないようで、今現在倒産の危機がうわさされている45~60社は、軒並み大手ばかりだ。ちなみに、恒大集団グループ一社で直接・間接雇用400万人、倒産したら影響を受けるのは1,000万人(被害者となる顧客は含まず)といわれている。不動産バブルが崩壊して、住宅価格は、ピークだった2017~2018年比、20%ほど下落しているそうだが、中国が日本の歴史を繰り返すなら、あと50%は下がらなければならない。それまでにどれほどの自殺者が出るのか、中国共産党は資本家・不動産屋を救うのか、自然に任すのか、間もなく結論を出すのだろう。