アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

大量に廃棄される食品

 世界の人口は78~79億人だそうだが、その9%の7億人が飢餓人口といわれている。充分な食料がなく、餓死寸前の状態、勿論、栄養失調で医療も届かず、単にまだ死んでいないという状態の人だ。これらの人たちは、一日の食費200円($1.90)以下で暮らしており、アジアに3.8億人、アフリカに2.5億人の飢餓人口がある。国連(World Food Program)が食糧援助をしているが、支援の届かない人が大勢いる。そこまでいかずとも、現状で栄養不良の状態の人口は20~30億と言われており、地球規模でみると、食料を廃棄している場合ではないことがわかる。

 

 恐らく一番食料を無駄にしている国は米国だろうと思われる。人口の半分以上が肥満であり、「もったいない」という発想はなさそうだ。日本には「もったいない」という大事な言葉があるにも拘らず、まだまだ廃棄食品の量が多い。統計によれば、日本の食料の合計17%が、家庭(11%)、飲食店(5%)、小売店(2%)の段階で無駄に廃棄されているという。我が国も国連の持続可能発展目標(SDGs)を取り入れているのだから、プラゴミを減らす努力などと共に、廃棄食品を減らす努力をしなければならない。(日本の廃棄食料は年間約600万トン)

 

 残念なことに、先般の東京五輪Olympic/Paralympic)では、何十万食もの弁当と数千トンもの食材を廃棄していたことが報道されている。無観客と決まったのは直前ではなかったのだから、ボランティア用の弁当の数を減らして注文するくらいのことがなぜできなかったのか、理解に苦しむ。開会式(7月23日)用の弁当は1万食注文して、4,000食を文字通り廃棄したという。真夏で2時間以上経過したものは、Food Bankなどに寄付することもできなかったというが、東京都豊島区の公園では、困窮者支援のNPOが400人ほどに食料配布をしていたのだから、もっと頭を使って、せっかく用意した弁当は有効活用すべきだった。NPOやfood bankなどに引き取りに来てもらうくらいの配慮をすべきだった。

 

 選手村や競技場の食事は基本的にビュッフェスタイルなので、厚生労働省のマニュアルの基準に従い、2時間経過したものは自動的に廃棄する。選手村の食堂(dining room)は24時間稼働していたので、2時間ごとに大量の食品が廃棄されていた。Food Bankなどと連携してもっと効率の良い利用をすべきだったのではないかと悔やまれる。選手村の最終日(9月8日)には冷凍のものも未使用の調味料も全部開封して捨てたというから、それを見た食堂のスタッフが心を痛めたという。

 

 こんな無駄を平然とやっている菅首相も五輪大臣も橋下大会組織委員長も、所詮、自分のお金ではないからと、金銭感覚がマヒしていたのだろう。今回の無観客開催による東京五輪赤字額は、最終2兆3千億円以上と言われているが、実質的に東京都と国が負担するので、出どころは都民・国民の税金だ。表向き持続可能発展目標を標榜しつつ、短期間でこれだけの量の食品を何も考えずに廃棄しておいて、責任者は何も感じていないようだ。現場で働いていたスタッフは、一同に、「もったいない」「心が痛む」「(廃棄の現場を)見なければよかった」と大きなショックを受けているという。