アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

大口病院点滴大量殺人事件

 2016年7月から9月にかけてわずか3か月の間に、入院していた48人の患者が亡くなった横浜市の旧大口病院(現・横浜はじめ病院、休診中)点滴殺人事件の裁判員裁判が、10月1日から始まった。判決言い渡しは11月9日。死刑を求刑されている犯人は、こともあろうに同病院の元看護師・久保木愛弓(アユミ、34才)。健康でない人が来るところが病院だから、入院患者が入院中に死んだとしても、特段、事件扱いされない。運悪く死亡した場合は、医師の死亡診断書を基に火葬される(従い、おかしな死亡診断書でない限り、事件の証拠は残らない)

 

 この病院では、3か月の間に48人の入院患者が不審死で亡くなっていた。一日に5人亡くなった日もあったという。犯人が、点滴袋に、消毒剤のディアミトール(Diamitor)を混入させて患者を殺していたが、事情を知らぬ医師は中毒死と判断する。慢性腎不全など、もともと何がしかの病気を患っていた人もいるから、その患者が死亡したところで、医者は不自然とは思わず、事務的に死亡診断書を作成するだけだ。しかし、短期間にこれほどたくさんの患者が、一つの病院の同じ4階の病棟で亡くなるという事実を、もっと早くに把握して、調査する病院長はいなかったのか、あまりにも無責任な経営だと言わざるを得ない。

 

 2016年9月16日、18日、20日に一人ずつ3名が亡くなって、合計48名の不審死となったが、この3人については、体内又は血液からDiamitorが検出されたので、死因が中毒死と判明した。しかし、怪しいと思われていた看護師・久保木愛弓は、その後1年9カ月ほど自分の関与を否定していたため、犯行現場を見た者もいないし、犯人特定に時間がかかったという。警察が久保木愛弓を逮捕したのは2018年6月。本人は20名ほど殺したと白状しているが、検察が起訴するための証拠を確保できたのは最後の3人分だけ。恐らく48名ほぼ全員この看護師の手による死亡だと思われるが、証拠がなければ、いくら本人が20名ほど殺したと言ったところで裁判にできない。

 

 結局、裁判で殺人罪に問われた不審死は、9月16日に死亡した女性(当時78才)、18日に死亡した男性(当時88才)、20日に死亡した男性(当時88才)の3人だけ。いずれも久保木愛弓が勤務中にDiamitorを点滴に混入させて死亡させた患者たちだ。他に、自分の昼間の勤務時間に夜勤の看護師が使う点滴袋にDiamitorを混入させた殺人予備罪でも起訴されている。Diamitor混入の点滴袋4個が証拠品として押収されている。

 

 この看護師は2005年看護専門学校入学、2008年看護師国家資格合格、即病院勤務、2014年うつになり休職、翌年4月退職、2015年5月大口病院に就職した。自分の勤務中に患者が死んでその家族に看護師が非難されるのが嫌だったので、自分がいない時に死ぬように消毒剤を混ぜたという。死刑求刑に対して、「死んで償いたいと思っています」と謝罪を口にしているそうだが、弁護団は、精神疾患による心神耗弱状態であったと主張して、死刑を回避しようとしている。全幅の信頼を寄せていた「白衣の天使」に自分の愛する夫・妻などを殺された遺族は、どの病院のどの看護師を信じて医療を受けるべきなのか、途方に暮れている。