アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

村を丸ごと3,700万円で売ります

 スペインで、村を丸ごと€26万(3,700万円)で売りますという広告が、不動産代理店のホームページに出た。通常、破格の出物と言えば、ヨーロッパでは、広大な庭付きの古い城などだ。石造りだから中世の城でも建物はしっかりしている。Castleistという欧州の城を仲介している不動産業者のホーム―ジには、Spainのみならず、Italy、Portugal、Belgium、ドイツ、英国、東欧諸国などの城がたくさん出ている。Spain Galicia地方の14世紀の城は€22.5万(3,200万円)、Spain Asturias地方の15世紀の城は€34.9万(5,000万円)というものから、€200万~€300万(3~4億円)位のものが多いようだ。

 

 しかし、今回の販売対象は城ではなく、村丸ごとというから破格の規模の出物だ。標高600mの高地の村には、使われていないホテル、教会、学校、公営プール、住宅44戸、かつて警察が使っていた宿舎などがある。場所はスペイン北西部、ポルトガルとの国境に接しており、自然に恵まれた環境にある。首都Madridから車で3時間と立地条件も悪くない。唯一問題なのは住民がゼロというだけだ。1950年代前半、近くで貯水池を建設するために労働者家族が移り住み村ができたが、建設工事が終わると住民らは転居したため、1980年代後半には住民がゼロになったという。

 

 この廃墟になった村(Salto del Castro)を買い取って観光名所に改造しようと考えた事業家が現れたのは2000年頃、立派なホテルも建てて乗馬クラブを経営しようと考えていたが、実現の前にユーロ危機が発生、彼は今年85才になるのを機に、自分の代での事業は諦め、子どもも興味がないので、売りに出したという。€650万(9.3億円)で買った村を€26万(3,700万円)で売るからには、無条件というわけではない。自分の希望に叶う企画書を提示する者に売ると条件を付けた。

 

 EUの村をアパート1軒程度の値段で買えるとあって、引き合いは世界各国から押し寄せた。ロシアを脱出している多くのロシア人は、この村に移住しようと早速名乗りを上げる。中国人も、共産党が支配する本国では住みにくいので、EUに中華村を作りたいと立派な企画書を提示する。Italy、Portugal、Scotland、Ireland、Poland、Belgiumなどからも、この村を買いたいという人が次から次に名乗り出たという。

 

 数多いる候補者の中から、85才になった村の所有者は、ドイツの資本と提携したスペインの事業者に売却すると発表した。この事業者は、この村にホテルを建て、馬の散歩道を作り、夜は星を眺めて自然を楽しめる旅行者の楽園を作るため、€200万(2.9億円)以上を投資するのだそうだ。