アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

それでも仮想通貨を買う人はいるのか

 先月、仮想通貨(暗号資産)交換業者世界三大手の一角、FTXが米国で会社更生法を申請、事実上、倒産した。本社はtax haven(租税回避地)のBahamaとくるから、「通貨」を発行する会社(銀行)がtax havenというだけで、如何にも怪しいのだが、そのFTXの時価総額が、絶頂期には$400億(5.5兆円)というのも、実態とかけ離れたお遊びのように思えてならない。この会社は5年前に設立されたばかりで、今となっては「砂上の楼閣」と論評されている。FTXの連鎖倒産で米大手の仮想通貨貸付業者BlockFiも11月末倒産した。債務総額$1,100億(15兆円)と言われる。

 

 FTX創業者のお兄ちゃんは、現在、弱冠30才のSam Bankman Fried、名門MIT(Massachusetts工科大学)で物理学を専攻したというエリートだけではなく、両親がそろってStanford大学の現役法学部教授というエリート家族とくるから、皆が何の疑いもなく、彼の投資話に乗ってしまうのだ。しかし、このお兄ちゃんがやっていたことは、客観的に見て詐欺であり、一種のネズミ講でもあった。Bahamaに逃げていたが、米国政府の要請で逮捕され、来年早々、身柄は米国に引き渡されることになりそうだ。

 

 仮想通貨というものは、ドルでもユーロでも円でもなく、一私企業が発行した「通貨」という名の「お金」に準ずる「物」であり、それは有価証券なのか単なる商品なのかはっきりしない。有価証券とみなすなら証券取引委員会(SEC = Securities Exchange Commission)、商品とみなすなら商品先物取引委員会(CFTC = Commodity Futures Trading Commission)の監督下になる。商品取引の監督より有価証券取引の監督の方が厳しいので、Bankman Friedも政党にたくさん政治献金をして、監督の緩いCFTCの扱いになるように議会工作をしていたようだ。先般の中間選挙民主党に$3,600万(50億円)以上献金しており、大富豪George Sorosに次ぐ献金額第二位だ。幸い、日本では、仮想通貨は金融庁の監督下にあり、単なる投機対象の「商品」扱いではない。

 

 仮想の「商品」は現実には存在しない「通貨」だから、実体経済から完全に切り離されており、中身はblack box化され、誰も知るすべがない。当のBankman Friedも実態がわからないとはっきり告白している。El Salvadorの大統領(アメリカ嫌い)は米ドルを嫌って国家の法定通貨を仮想通貨にしたものだから、FTXの倒産により、$6,500万(90億円)もの国庫の含み損を抱えているという。こんな仮想通貨に投資する国も個人も、宝くじを買うほど危険でバカげているということを思い知るべきだ。