アミのひとり言

事務所のアイドル犬アミのひとり言です。

ドイツ政府転覆を企てる集団

 ドイツで政府転覆を狙うクーデターを計画していたとして、ドイツ連邦検察は今月7日、25人を逮捕した。総勢3,000人を投入し、ドイツ、オーストリア、イタリア3か国で130か所を一斉検挙、家宅捜索に踏み切った結果、元貴族の末裔Heinrich(ハインリッヒ) 13世(71才)、その愛人でロシア人女Vitalia B、それにRüdiger von Pという名の元軍人の身柄を確保、この3人が、このグループの主犯格とみられている。今回逮捕された25人の中には、元連邦議会議員で現職の裁判官、精鋭の特殊部隊出身者、現役の軍人なども含まれていたというから、現代のドイツでそのような大げさな政府転覆クーデター未遂事件が発覚とは驚いた。その他、大量の武器と現金€13万(約1800万円)も押収されたとのこと。

 

 この一味は「帝国の臣民(Reichsbürger)」という名の極右団体で、21,000~23,000人ほどの支持者がおり、ドイツ連邦議会議事堂を襲撃して、邪魔者がいれば殺害してでも政権を奪取するつもりだったという。ドイツ政府・警察・軍隊を相手に、こんな大胆なクーデターがうまくいくと考えるのは、かなり幼稚な発想としか思われないが、本気でそうするつもりだったそうだ。「帝国の臣民」の支持者には、暴力を推奨し人種差別的な陰謀論を掲げる極右団体などから、米国でDonald Trumpを支持するQAnonという陰謀論信奉者などがいるという。

 

 この極端な行動に出る人間は、現実が余りにも受け入れがたい不公平な社会であるという認識から、この世を支配しているのはDeep State(悪魔)であり、自分たちの救世主がこの世を支配すべきだと主張する。ドイツでは、Heinrich 13世という元Reuss(ロイス)家の末裔を国家元首にし、米国ではDonald Trumpを再び大統領にするというものだ。

 

 これらの極右団体が暗躍する背景には、社会の不平等がどうにも修正しようがないほどに極端になってしまったという現実がある。人口の1%に当たる富裕層が所有する資産は、米国では35%になり、ドイツでも32%になる。残りの99%の国民は、いくら頑張っても、1%の富裕層になれる可能性はほぼゼロだ。こうなったら、政府転覆、暴動、拉致、殺人、何でもありと開き直る。北欧などは10%程度で、誰でも頑張れば1%の富裕層に入れると思えるから「帝国の臣民」運動もQAnonも存在しない。(ちなみに、日本は1%の富裕層は資産の19%を所有する)

 

 ドイツのクーデター未遂事件を契機に、ドイツも、税制、社会保障制度を改革し、99%の国民が尊厳をもって暮らすことができる国づくりに尽力してもらいたいものだ。